令和6年(2024年)3月に、厚生労働省より「薬剤師臨床研修ガイドライン」が公表され、薬学部を卒業した人は「卒後臨床研修」として原則1年以上の研修が義務化されました。
この記事では、薬剤師の卒後臨床研修について紹介します。
研修の内容や特徴・懸念点などを解説しておりますので、薬剤師を目指している人は、ぜひ参考にしてください。
薬剤師卒後臨床研修の目的や研修内容について
厚生労働省は、薬剤師の資質向上を図るため、大学卒業後の臨床研修を義務化する方針を定めました。
これまでは、大学の薬学部に4年間通い、薬剤師の資格を取得することで卒業後に就職先を選択できました。
しかし、今後は大学卒業後に要件を満たした施設にて1年以上の研修を受け、研修終了後に就職先を選択できるようになります。
研修項目は「必須研修項目」と「選択研修項目」の2種類に大別され、どの項目も始めはOJT研修として指導者のもとで学び、一定の水準に達してからは研修者一人で実践をおこないます。
この研修期間は原則として1年以上と設定されており、臨床研修は調剤業務(約3ヶ月)・病棟業務(約6ヶ月)・在宅訪問(研修後期)の順に実施されます。
(地域連携は、年間を通じておこなわれる)
「病棟業務研修は6ヶ月間程度おこなうこと」というルール以外は、病院の体制や研修者の習得度に合わせてプログラムを構築してもよいとされており、研修施設によってプログラムの詳細が異なるケースも見られるでしょう。
薬剤師卒後臨床研修の特長と懸念点
薬剤師卒後臨床研修の最大の特長は「薬剤師の臨床能力を高められる」ことです。
卒後臨床研修は、要件を満たした病院で受けることとなり、医師や他の医療従事者とのカンファレンスや患者のモニタリングなど病院でしか経験できない業務も学ぶことができます。
研修が終了したあとは、病院勤務の薬剤師として活躍できることはもちろん、研修で学んだことを薬局やドラッグストアで役立てることも可能です。
医療技術は常に進歩しており、薬物治療はより高度化・複雑化しているため、研修を通してより実践的に薬学を学ぶことができるでしょう。
ただし、卒後臨床研修が義務化されたことによって「奨学金をどのように返済すればよいか」という懸念点も生まれています。
研修期間でも給与は発生しますが、給与体系によっては「生活が困窮しており月々の奨学金が困難」という人が出てくる可能性もあるでしょう。
まとめ
薬剤師の卒後臨床研修は、薬剤師の資質向上を図るために重要であり、研修を通して実践的なスキルを学べます。
薬剤師の役割は日に日に増しているため、日々研鑽を重ね、人々の健康の維持や増進に貢献できる薬剤師を目指しましょう。